相続登記をする期限は?
土地や建物といった不動産を所有していた方が死亡すると相続人に対して名義の変更(相続登記)をする必要があります。これについては法令上特に期限は設けられておらず、放置していたとしても罰則はありません。
実際に、相続税の申告が不要な場合には相続登記がなされないまま放置されるケースが多く、50年間放置していたケースもありました。
上記のとおり相続登記に期限はありませんが、当事務所では下記の2つの理由により、早めに手続きすることをお勧めしております。
1.相続登記の必要書類が入手困難になる
2.相続人の死亡や人間関係の悪化により、話し合いが困難になる
1.相続登記の必要書類が入手困難になる
相続登記をする際には数多くの書類が必要になります。その内、役所での保存期間が短い物(ex.住民票の除票→5年間)ですと、保存期間が満了した後は証明書が入手不可能になります。時間が経てば経つほど入手不可能になる証明書が増えていきますので、なるべく速やかに相続登記をすることをお勧めいたします。
2.相続人の死亡や人間関係の悪化により、話し合いが困難になる
これは実際に起こった事例です(分かりやすいように簡略化しています)。
父親(A)が死亡して相続人は妻(B)と子ども2名(C、D)の合計3名でした。Aは長期入院していたため預金を使い果たし、相続財産としては自宅の土地建物(現在はBが居住)があるだけでした。C、Dは妻であるBが相続することについて同意していましたが相続登記は放置したままでした。
数年後、Dが死亡しDの配偶者(E)とその子ども(F)が相続人となりました。
EはABとは義理の親子であって血のつながりはありませんから、Aの相続財産のうちEの法定相続分に当たる8分の1の金銭の支払いを要求してきました。
結果として、Bは自宅の土地建物を相続する見返りとしてEに対して数百万円の現金を支払うことになってしまいました。しかもこのケースではBに支払能力がなかったため、自宅を担保に銀行で借金をして支払いました。
BはDが元気なうちに相続登記をやらなかったことを心から後悔しています。
人はいつ亡くなるか分かりません。また、いつ気が変わるか分かりません。
「いつでもできる」という油断が大きな不幸を引き起こすことがありますので、「できるうちにやっておく」という意識で早めに相続登記を済ませましょう。
<価格表(消費税抜)>
自宅土地建物の場合
項 目 | 100,000円 | 80,000円 | 72,000円 |
登記申請 | ○ | ○ | ○ |
戸籍等収集 | ○ | × | × |
遺産分割協議書作成 | ○ | ○ | × |
登記事項証明書取得 | ○ | ○ | ○ |
その他、実費として下記の費用がかかります。
項 目 | 実 費 | 備 考 |
登記事項証明書 | 500円/1通 | |
登記情報 | 337円/1通 | |
固定資産評価証明書 | 400円/1通 | 東京都内 |
住民票 | 300円/1通 | 自治体によって異なります |
戸籍謄本 | 450円/1通 | |
除籍謄本 | 750円/1通 | |
原戸籍謄本 | 750円/1通 | |
戸籍の附票 | 300円/1通 |